社会の様々な文化を分類するのに、Low context culture, High context cultureという分け方がある。ビジネススクールのグローバル・マーケティングの授業などでよく取り上げられるテーマだ。
Contextは文脈と訳されることが多いが、これは昨日のブログで書いた「背景」にあたる。
ある文化の中で他人とコミュニケーションするのに、どのくらいその文化背景を理解していなければならないか、ハードルが高いのがHigh context, 逆にあまり理解していなくともなんとかなるのがLow contextである。
たとえば日本はHigh context cultureの典型例としてよく挙げられる。人々が共通の社会常識や認識を共有し、言葉がなくとも「あうん」の呼吸で通じ合える、そんな均質な文化である。一方逆にLow context cultureの代表は米国で、こちらは多民族・多文化であるが故に相手に物事を伝えるのにできるだけ表現をクリアにする必要がある。くどいほどの契約社会でもある。「言わずとも分かってくれるだろう」が通じない社会だ。他民族がひしめくヨーロッパもアメリカほどではないがこちらに分類される。
High context文化においては、外国人は現地人とContextを共有していないので住みづらいし、現地にも受け入れらにくい(日本で住む外国人の疎外感)。その点Low context文化は外から来ただれにも分かりやすく、外国でも受け入れられやすい。
海外で仕事をする日本人マネージャーはこの違いを常に頭においておかなければならない。欧米の文化では、日本では通じるような曖昧さは許されない。どんな指示も相手にくどいほどクリアに伝えないと分かってくれない、という前提に立つべきだが、これがなかなか難しく、あいまいな指示を出しては部下に理解されずに失敗する日本人マネージャーを見かけるのが実情だ。